若狭の山と峠 02 三国岳

全国に三国岳(山)と名の付く山は多数あるが、ここで紹介する三国岳は若狭(高浜町)、丹波(綾部市)、丹後(舞鶴市)の三国が接する位置にある山である。近くにある青葉山に比べて知名度が低いため、訪れる登山者は少ない。

 この山の登山ルートとしては、以下の3つのコースがある。

①高浜町の関屋より送電線巡視路を使って登るコース

 (三国岳より、北東に延びる尾根と、北西に延びる尾根を使う2コースあり) 

②綾部市老富町より登るコース(胡麻峠経由等複数のルートあり)

 (注)老富からのコースは、荒れており、使用不可との情報あり。

                        (2016.12追記)

③舞鶴市多門院より登るコース

 本書では①の福井県側から登るコースのうち、北東に延びる尾根を使うコースを紹介する。このコースは、美しい林の中の道が続き、新緑、紅葉のシーズンには、是非訪れてほしい山である。

 なお、北西に伸びる尾根を使うコースは、林道から最初の鉄塔までの間が荒れており、あまりお勧めできないが、周回コースを歩きたい向きには、登りに使われることをお勧めする。本書では、サブルートとして紹介する。 (2016.12一部改訂、併せて山頂付近の写真を変更)


コース紹介

①関屋からの三国岳へ     ■対象:初級コース 

 小浜より国道27号線を舞鶴方面に走り、高浜町の市街地を過ぎてさらに進むと、「青郷駅前」の信号がある。その次の信号を左折し、関屋川に沿って遡る。ほんの少し走ると、川は二俣になる。左へ行けば関屋川であるが、右の黒部谷に入る。大江地橋を渡り、黒部谷の林道を約1km走ると、また二俣になる。正面の沢の左岸を通る道が黒部谷林道であり、以前は、黒部谷林道の途中より左の斜面に取りついたが、高速道路工事用の道路が出来たため、この道路を利用することにする。なお、そのまま黒部谷林道を進んでも、周回する形で登山口に行くことが出来る。

 二俣の所で橋を渡り、黒部谷林道と分かれて左手に車でさらに登って行く。しばらく走ると、高速道路の下を2回通過する。2回通過後左手の山側を見ると、山肌に階段状の道が見えるが、これが登山道である。工事用道路脇に三国岳の標識があるので、道路脇に車を止め、左手の道に入っていく。ここまでの林道の要所要所に、三国岳の標識が付けられており、迷うことはない。なお、以前の登山道は、この地点の右側に上がってきている。

 左手の道を進むと、高速道路の下を通り、急な階段の登山道の下に出る。ここにも登山口の標識があるので、間違うことはない。急な階段が終わると、雑木林の中の登山道となるが、しばらくは急な登りが続く。途中No.22鉄塔への巡視路を左へ分け、そのまま行くと、伐採で左側が開けるようになり、青葉山と海を背後に、送電線の真下を通過する。

 やがて急登が終わり、No.23の鉄塔をくぐる。送電線は尾根から離れて行き、右に送電線を見ながら尾根沿いの道を登る。しばらく登ると陸軍省の石柱がある。風化して読み難いが、「明治32年4月、舞鶴要塞第一地帯標第四十九逓」と彫られている。ここから先は、右手に美しい林が広がっている。

 No.24鉄塔を過ぎ、しばらくすると小ピークになり、右手に下っていく送電線巡視路があるが、この道が次項で紹介する道である。この分岐の標識を過ぎると、一旦少し下り、階段を少々登ると三国岳に着く。

 山頂は、木々が伐採され、禿げ山のようになっており、以前の趣はない。山頂からも眺めは良くなったが、南側の胡麻峠方面に1分程行った所と、東の老富方面に1、2分程下った所にビューポイントがある。前者は、胡麻峠方面に進むとすぐに鉄塔があり、その先に開けた所がある。ここからは、若狭、滋賀、京都方面の山並みが見渡される。一方、東側に下った所からは、高浜町の三松、灘波江付近から若狭湾が広がり、また、左手には青葉山、右手には小浜方面の山々が、そして振り返ると丹波高地の山々が広がっている。両地点とも景色が良いので、休憩、昼食などをとるのに最適である。(2016.12再踏査、一部改訂)

■コースタイム
 高速道路脇の登山口→50分(30分)→鉄塔No.23→30分(20分)→鉄塔No.24→10分(10分)→頂上
  ( )内は、逆コースのタイム

 

②黒部谷からの三国岳へ    ■対象:中級コース 
 三国岳から北西に県境稜線が延びているが、その途中から黒部谷に続く道がある。この道も、送電線巡視路として使われたいるが、下部が荒れているので、注意して使ってほしい。

 周回コースを歩く場合、①の登山口近くに駐車すると良い。そこからしばらく作業道を進み、右手の黒部谷方面に下って行く。5分程で、黒部谷の林道に出会うので、左手方向に林道を進む。10分程林道を歩くと、左手に三国岳の標識があり、谷を渡った対岸には、登山口の標識もある。

 ここからは急斜面を尾根に向かって登っていく。このコースは、送電線巡視路として使われていたので、所々、樹脂で出来た土留めの階段もある。但し、急斜面のため、階段が土や落ち葉に埋もれている場合がある。赤テープを拾って、階段を探しながら登ると、左に回りこむようにして、尾根に出る。ここからははっきりとした道となり、すぐに送電線鉄塔に着く。ここまで登山口から約20分である。

 ここからはしっかりとした道になり、問題なく歩ける。しばらくは急登が続くが、しばらくで尾根の傾斜も緩やかになる。周りの林は、植林と、雑木林が入り乱れている。太い木はないが、綺麗な林も所々あり、心を和ませてくれる。鉄塔からさらに30分程で、県境稜線に出る。ここには、標識が設置されており、逆コースで下ってきた時も迷うことはない。

 ここからは県境稜線を、左手方向の三国岳に向かって進む。しばらくは急な尾根で、樹脂の階段を登る。その先は、尾根も緩やかになり、林の景色を楽しみながら進む。途中、10分程で、送電線鉄塔がある。再び、尾根が急勾配になってきて、鉄塔から40分程で、①のコースと出会う。ここにも標識があり、右手方向に5分程で山頂に着く。(2016.12登山道整備、一部改訂) 

■コースタイム
 高速道路脇の登山口→15分(15分)→黒部谷登山口→20分(15分)→最初の鉄塔→30分(20分)→県境稜線→

 10分(10分)→2番目の鉄塔→45分(30分)→頂上
  ( )内は、逆コースのタイム

地図