この区間は、鎌倉地区にある塩汲峠をスタートし、青葉山西峰を経由し、国道27号線・青葉トンネル上部の吉坂峠に至るルートである。この区間では、松尾寺から青葉山に登る登山道が、一部この稜線を通過しているが、それ以外の区間については、一般的に歩ける道はない。
塩汲峠~青葉山は、楽しく歩けるようなコースではなく、藪こぎもしながら、ひたすら県境ルートを探しながら、歩くことになる。また、青葉山を過ぎ、登山コースから離れたあとも、複雑な尾根を地図と睨めっこしながら、県境を追う必要がある。
塩汲峠は、舞鶴市と、高浜町を海岸線沿いに結ぶ道の県境にある。塩汲峠には自動販売機の設置されている駐車場があり、そこに駐車して、県境稜線に入っていく。入口は、熊笹、イバラも混じるひどい藪である。しばらく我慢して歩くと、はっきりとした稜線に出て、一安心する。しかし、その先には、倒れた竹が行く手を阻む。この先も、藪がひどい所もあるが、この辺りが一番大変である。二つ目の小ピークを越え、熊笹、シダの藪を越えると、突然、林道に出る。林道横には、「まつをのみち」と書かれた石碑が倒れている。この道は、古くは山中集落から松尾寺にお参りするために使われていたようである。ここまで、塩汲峠から45分程である。
少し林道を進み、再び、尾根に入る。すぐに左手に林道が現れるが、これは別の林道である。右方向にトラバースするように進み、峠状の所から、左手の斜面に取りつく。急な斜面で、木の枝に捕まりながら、150m程を登る。県境をうまくトレースすると、437.6mの三角点の右の鞍部に着く。ここまで、林道から45分程である。
この辺りから植林となり、次のピークから、県境杭が現れる。一旦下り、再び急斜面に入る。最初は、杉林の中、その後は、雑木林の中の急斜面を喘ぎながら登ると、青葉山西峰の西側にある祠から北西に延びる尾根に出る。ここからは、木々の間ながら、海が見える。この先は、痩せ尾根で、左手は切り落ちている。時折、岩も出てくるが、概ね、右側を簡単に巻くことが出来る。稜線の最後は大きな岩の前に出て、左右どちらかを行くと、青葉山の登山道に出る。ここまで、437.6mの三角点右の鞍部から、1時間15分程である。なお、青葉山西峰は、左手に5分で着く。
祠の所から、右手に登山道を下る。40分程下り、傾斜が緩やかになった頃、倒れた鳥居がある。県境は、ここから左手に入る。幅広い、緩やかな尾根で、ルートを見出しにくい。340mピークを越え、緩やかに下り、最後は急斜面を下ると、舗装道路に出る。松尾寺から今寺を経て中山寺に続く道である。ここまで、登山道からの分岐から、20分程である。
ここからは地形が複雑で、地図と睨めっこして進む必要がある。二つ目のピークを越え次のひょうたん型のピークへ向かう辺りが特に難しい。ひょうたん型のピークを越え、登っていくと、尾根に突き当たる。尾根の向こうには平坦な所があり、コンクリートの基礎も残っている。尾根を左手に進むと、石積みの門、そしてその奥には、コンクリート製の半地下の建物がある。ここは、日露戦争で築かれた舞鶴要塞・吉坂保塁跡である。ここまで車道から1時間程である。
要塞には、下から道が上がってきているが、最初は尾根筋を歩き、時折、林道と交差しながら進む。すぐにU字型に180度反転する辺りは要注意である。なだらかに下り、登ると、194mの三角点に出る。ここまで要塞跡から45分である。
ここからは、南に方向を変え、下っていく。しばらく下ると、林道に出る。ここから、一旦登るが、そのピーク辺りが、青葉隧道の真上になる。ピークからは急降下となり、降りた所が旧国道にある吉坂峠である。道の脇には、石積みの壁が残っている。ここまでは、先程の三角点から20分程である。なお、ここから、旧道を福井県側に歩いて行くと、廃業したホテルの跡を通って、15分程で国道27号線に出ることが出来る。(2012.11.10)
〈2017.01.09 追記〉
塩汲峠からしばらくは、熊笹、イバラも混じるひどい藪でしたが、現在は綺麗に刈り込みされているとの情報を頂きました。地元有志の方が、塩汲峠~大杉神社までの約3kmの古道を復活整備されているとのことのようです。
塩汲峠→(45分)→林道→(45分)→437.6m三角点の右の鞍部→(1時間15分)→青葉山登山道→(40分)→県境稜線への分岐→(20分)→車道→(1時間)→舞鶴要塞跡→(45分)→194m三角点→(20分)→吉坂峠