県境稜線 A 正面崎~塩汲峠

若狭の県境稜線は、高浜町・内浦湾の西端、正面崎から始まる。鎌倉地区にある塩汲峠を経て、青葉山西峰を経由し、国道27号線・吉坂トンネル上部の吉坂峠に至る。
 この区間では、松尾寺から青葉山に登る登山道が、一部この稜線を通過しているが、それ以外の区間については、一般的に歩ける道はない。
 正面崎~鎌倉地区の塩汲峠までの内、正面崎から舞鶴カントリークラブ(ゴルフ場)近くまでの尾根は、概ね尾根上に獣道程度の踏み跡があり、藪こぎの必要はあまりない。ゴルフ場から先は、藪も待っており、一筋縄ではいかない。
 また、塩汲峠~青葉山を経て、吉坂峠に至るルートも楽しく歩けるようなコースではなく、藪こぎもしながら、ひたすら県境ルートを探しながら、歩くことになる。


コース紹介

 正面崎は、内浦湾の西側に位置している。半島の福井県側の一番先の集落は、上瀬集落で、ここから海岸沿いに正面崎には行けないので、上瀬集落から一旦、県境稜線に登り、そこから稜線沿いに正面崎を往復し、塩汲峠を目指すことにする。
 漁協関係の方にお願いした上で、漁港の駐車場に駐車させてもらう。集落上部の神社の裏手から、稜線を目指す。裏手は急斜面なので、我々は少し左手の集落内の道を利用して、尾根に取りついた。植林の中を登るが、時折、石垣も出てきたり、作業道のようなものもある。最後の方は急斜面となり、約40分で、県境稜線に出た。出た所は、地図にある峠道よりも、かなりP253に近い所であった。
 ここから、P253を越えて、正面崎を目指す。稜線上に道はないものの、藪のようなものはほとんどなく、楽に歩くことが出来る。ピークを越えてしばらく行くと、前方に大岩が現れる。稜線は左側が切れ落ちており、右の斜面を使って、大岩の上部にある広場に出る。椿などの林となっていて、休憩に良い。ここまで、稜線に出た所から30分ほどである。この広場は、標高70m程であるが、その先は急斜面となって、海へと続いている。ザイル等を使って下ることも出来そうであるが、我々としては、ここを県境稜線の西端とした。
 再度、ピークを越えて、東に進む。急な斜面を下った所に峠道があり、集落に疫病が持ち込まれないようにと、毎年、峠に置かれるという木の札があった。ここは、地図に点線で書かれた道が稜線を横断する所である。ここまで、大岩の広場から、50分程である。
 この先は、ゆっくりとしたアップダウンが続く。大木も時折現れ、気持ちの良い、歩き易い尾根である。ピークを二つ越え、鞍部から、はっきりとした尾根をゆっくり登ると、次の鞍部となり、そこには峠道がある。ここにも木の札が置かれていた。なお、この場所は、地図上の点線交差点より、P206に近い所である。そこからは、稜線上は少し藪っぽくなるが、左手に巻き道が通っている。しばらくすると、広葉樹の尾根となり、右手に大岩も現れる。さらに登っていくと、360m程のピークに着く。そこからは一旦下り、広々とした鞍部を経由し、再び登り出す。この先は、左手が植林、右手が自然林の境界を歩くようになり、やがて、P427に着く。
 ここからは広々とした尾根を進み、次のピークでは、左手方向に曲がる。すぐに鞍部となるが、地図に記載の峠道は見当たらない。広々とした広葉樹の林と、植林が交互に現れ、やがて、右から尾根が合流する。ここには、送電線巡視路の標識があった。そこからすぐに、488.5mの三角点がある。三角点の傍には反射板があり、この先は、直進せずに、反射板の右手を行く。ここまで、最初の峠から、約2時間である。
 この先は、ブナなどの混じる綺麗な林があったり、吊り尾根のような場所があったりと、変化に富んだ稜線を、いくつかコブを越えながら進むと、やがてP392に着く。ここからは、二つほどピークを越えるが、二つ目のピークは、要注意である。左手に綺麗な尾根が延びているが、ここは直進する必要がある。直進すると、激下りとなり、細い尾根に乗る。小ピークを越えて、急斜面を登ると、P334に着く。そこから、南西方向に、再び激下りを続けると、やがて、ゴルフ場境界のフェンスに出る。ここまで、488.5mの三角点から、約1時間30分である。
 この先は、ゴルフ場のフェンスを右手に見ながら、進む。電気柵の点検用の道があり、歩き易い。やがて、ゴルフ場のクラブハウス、駐車場の脇を進み。駐車場の端から。再び山に入る。県境はもう少し、駐車場に沿って進むが、我々は、貯水タンクのあるピークを目指して、登った。熊笹などの藪となるが、タンクを過ぎて少し進むと、歩き易い尾根となる。ゆっくりと稜線を登ると、310mのピークに着く。ここから県境は、左折し、東方向に向かうが、斜面は非常に急で、慎重に降りれば、降りられないこともないが、我々は、安全サイドにそのまま南方向に下った。神社の祠の跡があり、しばらくは昔の参道跡のような道があった。道は、右手に行くようなので、少し軌道修正し、左手に向かって、倒れた竹藪の中を行くと、ゴルフ場への車道に出た。少し車道を歩き、再び、県境に戻った。また、竹薮の中を、倒れた竹を乗り越えながら進むと、神社の小さな祠に出た。そこからは、参道があり、すぐに、再び、車道に出た。そこから、再び山に入るが、しばらくは作業道のようなものがあり、順調に進むが、最後はひどい熊笹の藪となった。背丈を越える密集の笹で、通過にとても苦労した。何とか、熊笹の藪を抜け、塩汲峠に出ることが出来た。今回が嶺南地方の県境稜線踏査の最終区間であったが、最後が最もひどい藪で、思い出にすることが出来た。なお、塩汲峠に出る辺りは、道路斜面が急になっているので、道路に下りる際は、注意が必要である。ゴルフ場に出たところから、塩汲峠まで、2時間ほどを要した。(2012.11.25)

 

〈2017.01.11 追記〉

塩汲峠手前の熊笹の藪は、刈り込まれていました。思い出の藪もなくなり、この部分は難なく通過できます。また、道路からは、竹で手すりが作られていました。

 

(2022.11.22追記)

2022.11.21に、再踏査しました。その結果を追記します。

①上瀬集落での駐車については、上瀬漁港を予定していましたが、漁港内立ち入り禁止となっていたため、事前に集落の方にお願いし、近くの空きスペースを利用させて頂きました。

②集落から県境稜線までは、国土地理院の地図にある峠に向かうルートを歩きました。途中、石積みの堰堤もありましたが、上部は結構急な斜面でした。

③この先は、現状のHPに記載の状況とあまり変わっていませんでした。なお、峠2箇所にあった疫病避けの木の札はもうありませんでした。最近は、その風習はなくなったようです。

④正面崎からP427の先の国土地理院地図記載の峠道付近まで、赤のテープが付けられていました。この峠道は、福井県側は消失しているようでしたが、京都府側にはかすかに道がついているようでした。舞鶴の大山地区から正面崎まで歩いている方がいるかもしれません。

⑤ゴルフ場のフェンス沿いの道は、最近は手入れがなされていないのか、歩きづらかったです。

⑥最後のピーク(330m)を下り、車道に出た後は、塩汲峠に入る場所までは、車道を歩き、県境稜線の一部はカットしました。

⑦塩汲峠手前の熊笹は復活していました。(2017.01.11追記の道は消失しています。)

 

⑧今回の軌跡を参考に掲載します。

コースタイム

上瀬漁港→(40分)→稜線→(30分)→正面崎手前→(50分)→最初の峠→(2時間)→488.5m三角点→(1時間30分)→ゴルフ場→(2時間)→塩汲峠

地  図

(2022.11.21の軌跡)