千石山は、若狭町の上中駅の南側に位置する山で、一般的な登山ルートとしては、井ノ口集落から、途中の「よもんだいら」を経て、登るコースがある。「よもんだいら」まで車で登ることが出来、その先の道もしっかりしているので、千石山に登るには最も良い。他にも、いくつか登山可能なルートがあり、藪こぎすることなく山頂に着くことが出来る。
山頂を含め、途中には美しい林もあり、地図を片手に登ってみたい山である。ここでは、井ノ口集落からのルートの他、天徳寺(瓜割の滝)からのルート、市場集落からのルート、神谷集落への下山ルート、そして、千石山~駒ヶ岳への縦走ルートを紹介する。
①井ノ口・熊野神社から千石山へ ■対象:初級コース
小浜からの場合、国道27号線をJR上中駅の信号で右折し、その先の突き当たりを右折して少し行くと、左手に熊野神社の立派な鳥居がある。鳥居をくぐりさらに車を進める。参道が終わと、その先に林道に獣除けのフェンスがあり、そこを通過して、井ノ口林道に入る。道が狭い所もあるので、気を付けながら約2km山道を登ると、「よもん平」という所に着く。ここは、井ノ口地区の方が整備された所で、駐車スペースの他、東屋、展望場所、さらには、仮設トイレまである。地域の子供たちの遠足場所にもなっている所のようである。
ここに駐車し、さらに林道を15分ほど進むと、左手に稜線が見えるので、稜線を目指して、歩き易いところを登と、(林道からの登り口に、標識を設置している。)すぐに稜線にでる。(以前は、よもん平からすぐに滝への登り口があり、道が分岐していたが、今はない。ただ、林道から滝を見ることが出来る。)
稜線に出てからは、右方向に、はっきりとした稜線を進み、前方に急斜面が見えた頃に、道は左手に入っていく。しばらくで、道はUターンし、急坂を避けるため、その先も道はジグザクに付けられている。しばらくは植林が続くが、やがて、尾根の左手が自然林となり、空が明るくなる。
稜線に出てから、30分程で、右の植林がなくなり、急傾斜の尾根を直登するようになる。ただ、この急登も5分程で、なだらかな尾根となるが、この辺りには綺麗な林が広がっている。ここを過ぎると、昔の峠道のようなしっかりとした道が時折現れる。昔、生活のための道として使われていたのであろうか。
その先、しばらく行くと、下にシダなども生え、樹相も変わってきて、さらに尾根を進むと、天徳寺(うり割りの滝)からの尾根に合流する。合流後、左手に20分程進むと、千石山山頂に着く。(2022.12.03再踏査、一部修正)
■コースタイム
よもんだいら→(1時間15分)→天徳寺からの登山道合流→(20分)→千石山
(注)逆コースは、1時間10分で下れる。
②天徳寺(瓜割の滝)から千石山へ ■対象:中級コース
このコースは、林道から尾根の取付きが急であるが、そのあとは、比較的歩き易い尾根道となる。
天徳寺(瓜割の滝)の駐車場に車を止め、瓜割の滝方面に歩き出す。右手に瓜割の滝に入る道を見送り、そのまま林道を進む。途中、獣害防止柵があるので、一旦、扉を開けて、通過する。(通過後、必ず復旧すること)しばらくで、林道が沢から離れ、右に曲がるが、ここは、林道から外れ、まっすぐの作業道を沢沿いに進む。(林道をそのまま進んでも、少し遠回りになるが、同じ場所に行ける。)やがて、再び林道に合流するので、今度は、林道を左に進む。そのまま林道を進むと、林道が右に大きく曲がる地点に来る。この曲がる地点が、尾根に取り付く地点である。(以前は、もう少し先で取り付いていたが、シダが繁茂しているため、変更した。)
標識、テープも付いているので、それにしたがって、細尾根の急登を登る。急な上、捕まる木のないところもあるので、慎重に登っていく。なお、現在は、取り付きからしばらくの間は、安全ロープが設置されている。やがて、尾根らしい所に出て、ここからは踏み跡程度の道もあって、楽に登ることができる。しばらくは、急斜面が続くが、P542あたりまで来れば、後は快適な尾根道となる。
途中から、右手が植林、左手が自然林のパターンとなり、全面自然林となると、よもん平からの道に合流する。ここからは、歩き易い尾根を15分ほどで、山頂に着く。
山頂付近は綺麗な林が広がっており、山頂から駒ヶ岳に向かう長い尾根が続いている。(最終踏査 2023.5.9)
■コースタイム
天徳寺駐車場→40分(30分)→尾根への取り付き→1時間30分(1時間10分)→よもん平からの道合流→20分(15分)→千石山
( )内は、逆コースのコースタイム
③市場集落から千石山へ ■対象:中級コース
(2023.09.10 登山道入口を市場霊園から上中体育館に変更しました)
このコースは、①のコースのサブコース的な位置づけで、林道歩きをせずに、①のコースに合流する。
小浜方面からの場合、国道27号線を上中駅前の信号右折し、道なりに進むと、上中体育館に着く。裏手に回り、車を駐車させてもらう。
山際に獣よけのフェンスがあるので、フェンス沿いに左手に行くと、入口の扉がある。ここが登山口になる。フェンスの内側に入り、フェンスに沿って、もしくは、少しジグザグしながら登っていく。黄色のテープが道案内してくれるので、それを参考に急な道を登って行く。5分ほどで、以前の市場霊園からの道が左に見えるが、下山の際に、こちらに入らないように注意が必要である。15分程は急登であるが、その後は傾斜も緩やかになり、歩き易くなる。途中、急になる場所もあるが、松交じりの尾根をゆっくりと登っていく。檜の植林となり、林の間から上中方面が見える。さらに登り続けると、P327を越え、よもん平からの道に合流する。この先は、①のコース案内を参照。(2023.09.10最終踏査、修正)
■コースタイム
上中体育館駐車場→(1時間)→よもん平からの登山道合流→(1時間)→天徳寺からの登山道合流→(20分)→千石山
(注)逆コースは、1時間50分で下れる。
④千石山から神谷集落へ ■対象:上級コース(このコースは、最近歩かれてないようなので、要注意です。(2023.5現在)
このコースは、神谷集落の上部(中腹)にある神社へ下って来るコースであるが、あまり魅力のある尾根ではないので、下山のバリエーションルートと考えた方がよさそうである。千石山から下って来ると、よもんたいら、天徳寺、そして、神谷への分岐に着く。左手に、「物見岩、神谷」と、黄色いテープに書かれている。テープに従って、左手方向に進む。右が植林、左が自然林の尾根を進み、しばらくで右に曲がり、登っていくと、20分程で、物見岩に着く。立派な岩である。岩を乗り越えると、急な下りである。左に行き易いので、右に進むと良い。鞍部の辺りに、黄色いテープがあるが、このテープは、ここが最後である。この先は、赤いテープなどがあるが、あまりテープを期待しない方が良い。地図と磁石で行く方向を確認して進んでほしい。雑木と植林の尾根道で、あまり楽しくない。時折、イワウチワ、イワカガミの群落に出会う。次の603mピークの手前は、下部で斜面崩落がある。右手が、植林となり、植林境界に沿って、右に折れる。植林と、雑木の、なだらかな尾根が続く。やがて、広く平坦な場所に出るので、右の境を歩くようにする。しばらくで、次の518mピークに着く。ここも平坦なところで、右に折れる。逆方向から来た場合、直進し易いので、注意が必要である。雑木林の中を下って行くと、綺麗な尾根の急な下りとなる。小さなコブで、左手に折れ、尾根の先端の様なところで、左手の斜面を戻るようにトラバースしながら下ると、神社の屋根が見える。特に道はないので、神社を目指して、強引に下って行く。神社は、大きく、石の鳥居も立派である。ここへは車道も上って来ていないので、神社の建設は大変だったろうと想像される。この先は、神社の参道で、30分ほど下ると、村中の神社があり、集落の中を通って、国道に出る。
■コースタイム
千石山→(15分)→天徳寺からの道等の分岐→(20分)→物見岩→(30分)→P603→(40分)→P518→(50分)→神社 →(40分)→神谷集落
(注)逆コースは、参道歩きも長く、あまりお勧め出来ない。
⑤千石山~駒ヶ岳への縦走コース ■対象:中級コース
前半は、桧の植林が左手にあり、少し鬱陶しいが、後半は、美しい自然林の広がる快適な尾根歩きが楽しめる。全体にアップダウンの少ないなだらかな尾根であり、尾根は比較的すっきりとしてわかり易いが、何箇所か尾根の分岐で注意する所がある。地図と磁石は必携で、慎重に進んでほしい。登山道としての道はないが、作業道のようなものがほとんどの区間であり、また、木が生えこんでいる所はないので、藪漕ぎの必要はない。
千石山から南東方向に下っていく。最初は尾根が広いので、尾根を外さないように慎重に下る。10分ほどで、尾根巾が狭まり、快適な尾根歩きとなる。尾根はなだらかで、迷うことなく歩ける。やがて、左手に桧の植林が現れ、少しうっとおしくなる。この辺りには、作業用の道も見られる。しばらく左手の桧の植林と右手の自然林の間を進むが、やがて、小ピークに着く。ここは、地図上で尾根が東に曲がる地点で、山頂からここまで約35分である。
ここを左手に折れるように曲がり、さらに進むと、しばらくで、次のピーク(南北に伸びるピーク)に着く。ここでは、左手に展望が広がる。この辺りから、植林は終わり、綺麗な林が広がる。さらに進むと、650mのピークに着く。
ここでは、右手に折れるように、綺麗な尾根を下っていく。鞍部より、登り返すと、642mピークに着く。ここも、右手に曲がるが、逆コースから来た場合、注意すべき地点である。さらに進むと、647mピークに着くが、ここも、右へカーブしながら下っていく。ここも、逆コースの場合、要注意である。なお、なお、647mピークから10分程の間は、夏場はシダが茂るので、道が分かり難い。
しばらくで、駒ヶ岳への登りが始まるが、尾根が広く少しわかり難い。ここは、高みを目指して、慎重に進む。やがて、再び明瞭な尾根となる。なお、この辺り(駒ヶ岳手前10分位から)にも、夏場にシダが繁茂するので、要注意である。また、このあたりには、所々、大きな岩がある。山頂手前から再び、尾根巾が広くなり、すぐに山頂に着く。逆コースの場合、慎重に、進む尾根を捕まえる必要がある。 (2023.5.9最終踏査)
■コースタイム
千石山→1時間→P650→20分→P642→10分→P647→40分→駒ヶ岳
(注)逆コースも、ほとんど同じ時間で歩くことが出来ると思われる。